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◆ ナイトウィザード第6期 ロストエデン編#4(2)

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以下は、ナイトウィザード!キャンペーン第6期の第2部、ロストエデン編最終話のプレイリポートの続きである。
前半をまだ読んでいない方は、そちらを先に参照して欲しい。




▼“真竜”リヴェル

リヴェル 「よくゾ……来……タ、我が……名ハ、“真竜”リヴ……ェル…」

プログラム改竄の影響か、まるで重力語のように不安定な言葉でウィザードたちを迎えるドラゴンの姿。
バグに犯されながらも、リヴェルは与えられたプログラムに従い、ウィザードたちの実力を確かめようとする。周りのプレイヤーたちが数多くの魔物どもと戦っている中、第2の戦闘が並行して行われることとなった。

リヴェルを中心に、召喚された2匹の眷属が主を囲む。
大蜥蜴のアルケミス・ナーガと、ワイバーンのソニックだ。
いずれも高いイニシアチブで先攻し、ブレスを始めとした範囲攻撃で相手を追い詰めるタイプらしい。


1ラウンド目。
リヴェルが前衛に、大蜥蜴とワイバーンが後衛に範囲攻撃を仕掛ける。
防御用エフェクトや《リザレクト》で何とか凌ぐも、強力なダメージになかなか対抗できない。
このラウンド、みるく姫の《支援射撃》で攻撃力を格段にアップさせた陰陽師嬢がワイバーンを一撃で仕留めるものの、他のメンバーの攻撃はことごとく失敗してしまう。
龍使い氏(レッサーパンダ)は攻撃せず、よりパワーアップするために変身する。
とは言っても元から獣の姿なので、毛が逆立ち、牙や爪が伸びる……といった演出らしい。

2ラウンド目。
大蜥蜴が前衛にいた龍使い氏を後衛に吹っ飛ばし、その直後、待機していたリヴェルが全員にまとめてブレスを吐く。
イヤな連携攻撃である。
みるく姫は《支援射撃》に失敗し、このラウンドのダイスボーナスは無し。
それでも、勇者氏、陰陽師嬢、龍使い氏の集中攻撃により大蜥蜴の撃破に成功。
レッサーパンダの肉球が、大蜥蜴を粉々に砕いた。

3ラウンド目。
そろそろ何とかしなければ本格的にやばげな雰囲気。
リヴェルは吸血鬼氏に対してかぷっと甘噛み。
過去の2ラウンドで大ダメージを喰らってしまったがために吸血鬼氏は得意の《赫き鎧》が出せず、なかなか有利に戦いを進めることが出来ないのが辛いところだ。
そして再び、みるく姫は《支援射撃》に失敗。
《シューティングシステム》込みで十個以上のダイスを振っているのになかなか成功しない。
その分、他の仲間に出目の良さが回ったのだろうか、勇者氏と陰陽師氏は次々と攻撃をヒットさせ、大ダメージを叩き出す。
これが致命傷となり、ついにリヴェルはその巨大な体躯を地に落とす。
相変わらずフィニッシャーとして大活躍中の陰陽師嬢である。


フォルビス 「お前ら! 道は開いたぞ!」

ちょうどリヴェルとの戦いが終わったタイミングで、フォルビスがウィザードたちに向かって叫ぶ。
大勢の一般プレイヤーの協力によって切り開かれた道を突き進み、一行は遠くに見える光の塔を目指したのだった。


▼一条の光

魔物の群れの中心にそびえ立つ光の柱。
そこに、ずっとウィザードたちが探していた人物の姿があった。

勇者氏 「ミルシャ!」

そう、光の中に漂っていたのは“光の使徒”ミルシャ。
最初に出会ったときと同じように、彼女は衣服を身に纏っていなかった。
声を奪われた少女の白い肌には無数の血管が浮かび上がっている。
それはエミュレイターどもによる『呪い』であった。

ル・パピヨン(中ボス) 「ハーッハッハッハッ、お久し振りですね、皆さん。ちょうど“光の使徒”にかけられていた『呪い』を解いた……正確には、悪しき者からのクラッキングを弾いたところです」

そして、その横で彼女に何らかの儀式を施す男が1人。
白いタキシードに、蝶を模した仮面。
ミルシャを連れ去った異世界の魔王、ル・パピヨン(通称、中ボス)だ。

みるく姫 「久しいな、中ボスよ」
ル・パピヨン 「私をその名前で呼ばないでくださ……って、あなたは誰ですか。
みるく姫HAHAHA、この声を聞き忘れたか。
ル・パピヨン 「……ま、まさか! あの時の変なオッサン!」

納得できない顔をしながらも、ル・パピヨンはミルシャの方を仰ぎ見る。
すると、少女を束縛していた無数の血管がスルスルとほどけていくではないか!
同時に光の柱は薄れていき、綺麗な肌に戻ったミルシャは意識の無いままゆっくりと落ちていく。
地面に描かれた魔法陣の上に、寝かされているような格好となった。

ル・パピヨンの目的と行動について問いただすウィザードたち。
はっきり言って、このままでは何が何だか分からない。

ル・パピヨン 「あなたたちは、幻夢神を知っていますか?」
みるく姫 「幻夢神、だと…!?」

唐突な魔王の問い掛けに、困惑するウィザードたち。
当然ながら、ロンギヌスのサポートメンバーにして夢使いである自分が知らないはずもない。

幻夢神。
それは「夢見る神」や「世界管理者」とも称される偉大な存在だ。
はるか昔、神々の時代。
超至高神と108の古代神による永き戦いの末、古代神たちは超至高神側の勢力により封印された。
その後、疲弊した地球(ファー・ジ・アース)を守護するために現れたのが、この夢見る神である。
幻夢神は深い眠りにつき、夢を見た。
そして一説によると、我々人間を始めとした全ての生物は、この夢の中で生きている存在なのだという。

ここで魔王ル・パピヨンは重大な事実を告げた。
陰陽師嬢がずっと探していた親友・矢島レイコのことだ。
彼女こそが、目の前で眠っている“光の使徒”ミルシャを操るプレイヤー。
言葉を奪われ、記憶を封印されながらも、矢島レイコはずっと親友である陰陽師嬢のそばにいたのだ。

ル・パピヨン 「そして矢島レイコ……彼女こそが、地球(ファー・ジ・アース)を護る幻夢を司る神なのです」

幻夢神が目覚めたとき、彼女の見ている夢の世界、すなわち我々の知っている地球は滅び去ってしまうという。崩壊後の地球、それがエミュレイターたちの望む世界。
グラーシャ=ロウロスらエミュレイターたちがミルシャに固執したのは、夢見る神を無理矢理目覚めさせるためだったのだ。

矢島レイコがエミュレイターたちに狙われていることを察知したル・パピヨンは、彼女の存在……すなわち、幻夢神の眠りを何としてでも守らねばならないと考えた。
地球にいれば、彼女の周りでいつか必ずエミュレイター絡みの事件が起きるだろう。
そして、それに対処すべくウィザードたちが現れる。
いくら深き眠りとはいえ、彼女のすぐ近くで騒ぎ立てていれば、やがて夢見る神は目覚めてしまうに違いなかった。
ル・パピヨンは自身の力を使い、矢島レイコをロストエデンに呼び寄せる。
かくして、彼女は“光の使徒”ミルシャとしての自我を与えられ、ロストエデンの住人となった。
ここであればエミュレイターたちの妨害を受けることが少ないだろう、そう考えたのだ。

しかし、その作戦は成功とは言い難いものとなった。
ウィザードたちが消えた矢島を追ってロストエデンにまでやってきたために、結果的にエミュレイターの妨害を招き入れることにもなってしまったのだ。
このままでは、ル・パピヨンの懸念が現実になってしまう。

ル・パピヨン 「私とて、世界の滅亡を憂う同士なのですよ」

世界のために、ここは退いてくれないかと一行に提案する。
矢島レイコという存在は地球を包む世界結界の外に隔離されることになり、人々から彼女の記憶は失われてしまうだろう。
しかし、幻夢神が目覚めてしまえば、矢島レイコどころか、全ての生きとし生けるものが滅んでしまう。

みるく姫 「ロンギヌスの一員として、世界を護る為なら……!」
陰陽師嬢 「私は……世界のことなんかより、友達を、救いたい!」
吸血鬼氏 「慌てたら駄目だ。例え幻夢神が目覚めたとしても、この世界で生きる者たちの意志がある限り、世界結界が崩壊することはない! 矢島さんだって、生きていけるハズだ!」

世界の存亡を巡り、ウィザードたちの意見が対立する。
誰もが頭では理解しているのだ。
より多くの人間が助かる道を選ぶべきなのだと。

黒衣の魔女 「……駄目……です……」

突如、その場に出現する黒衣の魔女。
ロストエデンにやってきたばかりの頃、ウィザード一行の前に現れた謎の美女である。

黒衣の魔女 「相手の言葉に、惑わされては……いけま…せ(ザザーッ)」

異常なまでのノイズが、黒衣の魔女を拒む。
よほど辺鄙なところからアクセスしているか、それとも何者かの妨害に遭っているか。

黒衣の魔女 「あなたたちの、意志を尊重してください……決して……騙されたりしないよう……それが世界のためになる…こと……どうか、お願いします……」
みるく姫 「あなたの意志に従います。我が主・アンゼロット様。

黒衣の魔女、その正体は次元の挟間に捕らえられたはずの“世界の守護者”アンゼロットその人だった。
その高い魔力で、ウィザードたちを支援するために何とかこのロストエデンにアクセスしてきたらしい。
だが、そのアンゼロットの一声のおかげで、ウィザードたちは決意を固めることが出来た。
すなわち、ミルシャ(矢島)を助けて、世界も救うと。

ル・パピヨン 「そうですか、残念です。ならば仕方ありません! この私、“麗しの魔神”ル・パピヨンが貴方たちを止めてみせましょう!」


今度はル・パピヨンとの因縁の対決だ。
先の対リヴェル戦で消耗していたウィザードたちにとって、長期戦は敗北を意味する。
最初から全力を出すしかない。

まずはル・パピヨンの先制攻撃。
《絶対の恐怖》に《要の陣形》などを組み合わせた強力な範囲攻撃でウィザードたちを襲う。
防御し辛い《絶対の恐怖》は、やすやすとウィザードたちのHPを奪っていく。
陰陽師氏は既に《リザレクト》を使える侵蝕率ではなかったため、タイタスを昇華して復活する。

続いて、みるく姫の《支援射撃》+《シューティングシステム》。
先の戦闘では失敗し続けたエフェクトだが、3度目の正直でやっと成功!
強力なダイスボーナスで、味方をサポートする。
続けて、他のメンバーによる連続攻撃。
いきなり全力攻撃という作戦が功を奏し、なんとかル・パピヨンのを倒すことに成功する。


ル・パピヨン 「ハーッハッハッハッ、ならば後悔しなさい! 真実を知ったとき、貴方たちは驚愕するでしょう!」

ル・パピヨンは捨て台詞を残し、瞬間移動でどこかへ逃げ去ってしまう。
再びまだ出会うこともあるだろう。
ヤツとの決着は、いつか必ずつけなければならない。

ミルシャ 「(矢島の声で)……どうして……どうしてなの?」

いつの間にか、当のミルシャは意識を取り戻していた。
彼女は一糸纏わぬ姿のまま、矢島レイコの声で震えながらポツリと言葉を吐く。

勇者氏 「ミルシャ! 僕は……君を守ってあげたいんだ!」
ミルシャ 「私はただ、眠って痛いだけなのに……みんな、私を起こそうとするの!?」

勇者氏の言葉に耳を傾けることもなく、“光の使徒”ミルシャは光の塊となって南東の空へと飛び去ってしまう。
彼女が向かった先は、おそらく「命の泉」。
ロストエデンの中心で、ミルシャは何をしようというのだろう?

彼女が去ったあと、ウィザードたちの元に“真竜”リヴェルが現れる。

リヴェル 「人の子よ。汝はこの世界をどこに導く?」

リヴェルはもともと、彼の認めた冒険者オーキィたちを、世界の中心にある「命の泉」へと運ぶ役目を担う存在。
ウィザードたちは彼に命の泉へ連れて行ってくれと頼むと、快く承知してくれた。


▼命の泉

リヴェルの背に乗って、「命の泉」へとやってきたウィザードたち。
見上げれば空は裂け、全てを飲み込むブラックホールのような闇が口を開いていた。

ミルシャ 「私に関わらなければ良かったのに……なんで私の夢は、こんなに騒がしいのかしら?」
陰陽師嬢 「それは、きっと貴方が望んでいるから!」
みるく姫 「夢とは自身の深層心理を示すもの。それが悪夢であるのなら、私たち夢使いの仕事だ……」
ミルシャ 「違うわ。私は眠っていたいの」

全てを拒否するミルシャ。

勇者氏 「僕はもう君を放っておくことなんてできない! 何故なら……何故なら君を愛してしまったから!

必死の想いを告げる勇者氏。

ミルシャ 「だから……関与しないで」

ミルシャのごめんなさい宣言。
思わずショックでその場に硬直する勇者氏。

ミルシャ 「あなたたちなんか、嫌いッッ!」

ここでミルシャはウィザードたちへの魂の絆(ロイス)を全てタイタスに変え、即昇華する!
その想いの力によって放たれた光の攻撃は、ロストエデン全域に降り注ぎ、容易く世界を滅亡させた。

ミルシャ 「これが、ダブルクロスのゲームクリアよ」

大地が裂け、海は荒れ、そして空が落ちる。
あれほどまでに美しかったロストエデンの世界が、ミルシャの一撃によって崩壊していく。
これがロストエデンに宿命付けられた最期なのか。

ロストエデンでゲームをプレイしていた多くの一般プレイヤーたちは強制的にログアウトされる。
しかし、ウキョウやカルマなど、プリズナーと呼ばれる「ゲームから抜け出せなくなった人々」は今だロストエデンに残っていた。
このまま世界が崩壊してしまった場合、彼らの安全は全く保障できない。
そしてそれはウィザードたちも例外では無いのだ。
速やかに上空に見える空間の歪みに飛び込み、ここから脱出せねば。

吸血鬼氏 「ここは、私に任せなさい。私の全ての力を解放する! みんなは、早く歪みに飛び込め!」

慌てるウィザードたちの中で、唯一、彼だけが不思議と落ち着いていた。

吸血鬼氏 「(……人間たちよ、ありがとう。短い間だったが、十分に楽しむことが出来た。)」

ここで吸血鬼氏は、《異世界の因子》でみるく姫の持つ《天性のひらめき》をコピー。
更に全ての魂の絆(ロイス)をタイタスに変え、ミルシャと同様に昇華する。
これでクリティカル値は1。
ダブルクロスのルールに明るい人なら分かるだろうが、ファンブルさえしなければ達成値は無限大となる。
つまり、どんなに難易度の高いでも、可能性さえあれば100%行為が成功するのである。

先ほどミルシャが光で世界を焼き尽くしたように、吸血鬼氏は自分の髪の毛を巨大な蜘蛛の巣のごとく無限に伸ばし、ロストエデン全体を覆い、崩壊からプリズナーたちを護ったのだ。
そのまま、全てのキャラクターを次元の歪みへと(髪の毛で器用に)誘導する。


一世一代の行動により、絶望的だった救出劇は成功した。
あとは、彼自身が空間の歪みに飛び込めば、ロストエデンに残る人間は誰もいなくなる。

みるく姫さあ、あんたも早く!

穴の向こうから手を差し伸べつつ、みるく姫は死に台詞を叫ぶ。
しかし、吸血鬼氏はその手をさらりと払いのけた。

吸血鬼氏 「……みんな、ごめん。……世界を、頼んだ」


その直後、吸血鬼氏は紫色の光に貫かれ、絶命した。
R.F.D. | by odprfd | 2006-01-18 00:54 | TRPGセッションレポ

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